塾と習い事の両立は可能か
よくある相談に・・・
中学受験をするご家庭では、本格的な学習塾に入る小3ぐらいまで色々と習い事をしているお子さんが多いですね。ピアノ、水泳、習字、公文などの定番ものや、スポーツ全般、格闘技、舞踊・ダンス系、芸能活動、IQ育成関係など、色々横に手を広げていらっしゃいますね。それももちろん「早期教育」を意識されているのであれば、トレンドというか定説の1つではあります。10歳までは脳が急激に成長を続けるのでその時期に色々とやること(特に夢中になること)は、脳の成長(=才能と可能性がどんどん広がる)にはとてもいいことだと思います。親御さんの負担は大きいですけどね。そして小4に進級する前後で、受験に集中するためにほかの習い事をやめる(あるいはお休みをする)ということも一般的です。
でも小4小5になって「さあ本格的に学力ハイレベルを目指そうか」となった時、「うちの子はどうしても習い事の〇〇だけは(ひょっとしたら2つ目も3つ目も)やめさせたくない、続けたいと本人が言う」という親御さんがよくいらっしゃいます。「だから集団塾ではなく個別指導を選んだ(集団授業スタイルの塾は授業時間・宿題・個性への対応・講師との相性等の融通が利かないから)」、というご家庭もいらっしゃいます。親御さんの頑張らせたい気持ちも、お子さんの続けたい気持ちもわかります。しかしその反面、受験では勉強以外の習いごとはかなり負担になり、失敗の原因によく挙げられます。習い事の方に時間を取られるので、習い事をやっていない生徒と比べて量をこなす練習が不足したり進度がかなりおそくなったりしますから、私もあまり好ましくないなと感じています。もちろんその部分は了解をしていただいています。ちなみに本人が勉強もほかの習い事もイヤイヤやっているのであれば、せめてイヤイヤやるのは1つにしてあげてください、お子さんの将来の為に。本当は全部やめさせてあげて、お子さんが自分で自分づくりをする援助する、というのが両親や関わる大人の最善の方法なんでしょうけど(笑)。
先に結論:ケースバイケースだが、勉強に集中すべきかと
お子さんの長い人生を考えると、「中学受験がすべてにとって良い」とは到底思いません。その上で、塾の指導者としての観点(3年以内に来る中高大の入試に合格させることを第一使命とする立場)から言わせていただくと、「結果を出すことが目的なら、年齢が低いほど1つに集中したほうが良い」と思います。
2つ以上を併用する場合のデメリットは?
受験系の塾と受験には関係のない習い事を併用する時、やはり一番気になるのは「時間と心がそちらに持って行かれること」です。時間というのは「自由にできる時間」のことです。小学生は学校に行かなければなりませんし「時間は有限」です。また心とは「精神的な容量」(※)のことです。受験勉強や習い事は多くの子どもにとってストレッシブですが、そのようなストレスにどこまで耐えられるか、効率よくこなせるかという意味です。そして「自由にできる時間」も「精神的容量」も、その最大量は全員が等しく持っているというものではなく、それぞれのお子さん・ご家庭で決まります。あるお子さんは10の時間・10の精神的容量があるとしても、別のお子さんは8の時間、精神的容量は6しかない、ということが普通に見られます。そして後者のお子さんが受験塾とピアノを同じくらいさせるとしたら、時間は4ずつに分配し、精神的容量は3ずつに分割することになります。前者である10の時間と10の精神的ゆとりを全て受験につぎ込めるお子さんとは、「才能」とか「財力」とか「塾や指導者などといった良い環境」などと言う前の状態で大差がついていますね。「例えば」の話ですが、前者は10(時間)×10(精神)=100の結果を出す可能性があるのに対し、後者は4(時間)×3(精神)=12の可能性しかありません。「いやいや、ピアノはほんの息抜きのつもりですよ」とおっしゃる親御様もいらっしゃいます。でも「2つ以上のことに時間と心をどう振り分けるか」というのを、お子さん自身がコントロールするのは、なかなか難しいことです。2つとも「大好き」とは言えない状況も多いですよね。その場合、親御様が2つを管理することになり(管理しないなら「やらせているだけ」、つまり親御さんだけが満足しています)、2つともうまく行かない、そしてお子さんは自己否定が芽生える、みたいな悪循環も考えられます。
※精神的な容量・・・この容量が大きいお子さんは沢山のことを教えて指示しても大丈夫ですが、小さいお子さんはすぐに「これ以上は無理」が出てきます。ちなみにこれは幼いころからの訓練が可能です。もちろん小4以降も訓練が可能ですが、それには本人の強い「やる気」が不可欠です。
そこで「ケース・バイ・ケース」って何?
個別指導でエリートを目指すお子さんと親御さんを直で見ている者として、そして自分自身が色々な習い事をやらされていた経験も入れながらの率直な感想ですが、やはり時間と心が少ないお子様の場合、本来持っている最高のパフォーマンスは(勉強においてもそちらの習い事についても)引き出せない、と感じます。私がこのブログでよく言うことですが、最高の状態に仕上げるには勉強時間(あるいは練習時間)の確保は絶対です。時間制限(小6・中3・高3の冬)があるのなら、「二兎追うものは一兎をも得ず」が基本だとは思います。
ただし、以下に「こういう場合は塾以外の習い事もありかも」、というケースをいくつか紹介します。
1.習い事をやめると生きる気力がなくなる
ちょっと大袈裟ですけど、最も多いパターンですね。
このケースは、例えば、「ピアノが大好きでピアノは指示しなくても勝手に練習する、でも勉強や塾は親御様主導」というタイプですね。こういう場合は一度ピアノをお休みして塾オンリーにさせてみてください。結果、生命力が枯れてしまう、様子がおかしくなるようであれば辞めさせない方がいいですね。ただしそれが「ピアノができないから」なのか、それ以外(「勉強が嫌だから」「反抗期だから」等)の別の理由なのか、はしっかり見極める必要があります。後者であった場合、ピアノを続けるかどうかの話ではなく、勉強に関心を向けるような「メンタルのサポート」が大事になってきます。ちなみに勉強に関心を向ける方法は大雑把に言うと大きく4つ、結果を出す、勉強の目的(面白さ、大切さ、有意義)が明確、認められる人から称賛を浴びる(親を認めていない場合は親が褒めても無駄です、すいません)、指示・強制がない、です。人間がモチベーションを上げてくるときのパターンと同じです。ぜひいろいろと調べてみてください。あと昭和の遺物「恐怖支配」(やらなかったら・できなかったらシバく)という手法もあります。これは確かに違うモチベーションはあがりますが、反動が大きいのでお勧めしません(笑)。そして認めたくはありませんがこれで成功する(=志望校に合格する)お子さん、その後も上手くいくお子さんもいます。教える側としては、これほど楽なことはありません(笑)。
2.両方で成功したい、あるいはどちらが大成するか分からない、とお考えの場合
意外に多いですよ、才能にも恵まれ、なおかつメンタルも強い生徒さん。
私が個別指導を引き受ける場合は、ご家庭の状況やご要望を最優先で考えます。ですから、ピアノも受験も両方マジでやりたい、とお子さん本人がそう希望し、親御様もサポートしたいという事であればそうできるように勉強でも調整します。しかし、一般的には「二兎追うことはおやめください」的なことを言われることが多いでしょうし、先程も申し上げた通り「その能力なら、勉強だけに集中すればもっと向上していたね」ということは何度も経験しております。逆にそのことは、塾をやめてピアノに集中した場合も然り、だと思います。「継続は力なり」を現実的に考えると、二兎追うのであれば普通よりも長期目線でかまえておくべきでしょうね。短期で結果を出してほしい、あるいは「いついつまでにという期間がある」なら、同時並行はやはりかなり厳しいですよと私はお答えします。
例えばこんなご家庭がいらっしゃいます。ピアノとハイレベル学習塾を同時並行で進めていらっしゃいますが、親御様は「常にハイレベル学習ばっかりだったら息が詰まるだろうから、ピアノで息抜きすれば良いと思っています」という意図です(でも家族は誰も楽器を弾かない、音楽も聞かない)というおうち。でもお子さんに話を聞くとその意図が全く奏功していない時があります。つまり「ピアノもいや、勉強もいや」というケースです。バリバリの被強制児(「やらされている子ども」という意味です、勝手に言葉を作りました)ですね。恐らくですがどちらも成功しません。経験です。「勉強やピアノがそもそも楽しいこと、あるいは将来においてとても価値のあること」という雰囲気や目に見える形での実績のない家庭で育てられている場合、親御様がいくら「将来にいい」と言っても現実味は薄いです。お子様はやがて「本当か?」「あほらし」と感じます。もうひとつ、被強制児であるお子さんから「お母さんは強制する人」というレッテルを貼られた場合、自立が始まる小4以降にお母様が「これはまずい、私も勉強とピアノを頑張ろう(頑張る振りをしよう)」と改めても恐らく見抜かれますし、お子様の心には響かないと思いますよ。子どもは親の背中を見て育ちますが、その背中を見る目はお子さんの加齢とともに年々シビアになっていくことをお忘れなく(笑)。場当たり的な付け焼刃は、親御様がやりたいのなら全然問題ないのですが、お子様の為の「頑張ってる振り」は、逆効果です。ものすごく冷めた目で見ています。
3.習い事が良い影響を与えている場合(学習の転移と思われるケース)
大好きとは言い難い勉強を続けるうえで、やはり休憩は必要です。もちろん「勉強が大好き」だとしてもかなり特殊なお子様でない限り、長時間かつ長期間続けると、違う刺激が欲しくなるものです。そしてその違う刺激は相互に作用(※)して「勉強の目的」「合理的に成績を上げる方法」「自己肯定感」を強化して明瞭にさせ、さらなるやる気を育てることもあります。そういう意味で「自分の奏でるピアノに酔いしれる(言葉が悪いですがヤバい感じではないですよ、「私はすごい」という自己肯定感育成です)」とか、「ピアノ教室の先生や友人が大好き」とかは、心理学的な裏付けのある、効果の高い息抜きになる可能性は十分にあります(たかが「息抜き」にも効果や目的を意図して取らせた方がいいですね)。ゲームやLINEをするよりもいいかもしれません。脳波計測などの科学的に裏付けされた息抜き、というものも存在します。調べてみてください、試してみてください。ゲームをするよりも15分仮眠の方が数段効果があるかもしれません。
※相互作用・・・「学習の転移」と呼ばれる現象だと思うのですが、私はよくその場面に遭遇します。ある経験や学習・気づきが、全く関係のない部門で活きてくる、というあれです。例えばピアノでどうしてもうまく弾けないフレーズがあったとします。その場合、練習回数を増やすと大概の場合できるようになるものですが、子どもは5回10回練習してできなければ「やっぱ無理」と言いがちですね。ですがそこで大人の誘導であってもいいので「5回10回ではなく300回500回、1日2日ではなく1~2週間、5分10分ではなく2時間」ということに気付かせ実践させます。すると上手くできるようになって、自分は満足し周囲から称賛を浴びるます(ただし賞賛を受けてうれしい人から受けないといけませんよ、お母さまが万が一にも「もう関わりたくないし尊敬のかけらも持っていない人」と認識されていれば、お母様が褒めちぎっても「うざい、だまって」となるだけです。「おれは最高」状態にはなりません)。そして「練習の量と質が甘かったんだ、おれ」「やればかなりできるじゃん、私」「5~10回の練習では気づかなかったが20回目ぐらいから原因が分かった、50回目で上達に気付いた」などと学習します。すると次にピアノ以外で大きめの壁が来た時、「5回やっても無理なら300回やろう」「5回程度でできるわけないんだよ、おれは」「私なら必ずできるはず」「できない原因はこの辺じゃないのか・・」と、ピアノで壁を乗り越えた経験が活きてきます。これが「学習の転移」の1つです。「10回やってできないなら300回やりなさい」という指示だけだと「なんでやねん」「でけへん」となりますから、実際に300回やるようなサポートは絶対必要です。この「学習の転移」が発動するには条件がある印象ですね。つまり最初の成功体験(ここで言うピアノ)はそれが大好きであるとか、本人のメンタルが強い、親御さんからの「300回やれば?」に応じる素直さなどがないと、なかなか300回練習はできませんし、さらに勉強に活かす段階になった時も「ピアノも勉強もなんでもそうだが、得たことは相互に活かすことができる」という経験や「勉強でも向上したい」というメンタルを持っていないと発動しませんね。その意味では親御様や周囲の大人の見守りや上手な誘導がとても大切です。
ギフテッドとの関連
ちょっと話がずれますけどね。野球では二刀流の大谷選手が大活躍しています。「飛び抜けた才能」を複数持つ人がいます。でも主に勉強を指導する者として、彼らのような「ギフテッド」とも思えるような人はごく少数です。優秀なお子さんをお持ちなら「うちの子もマルチな才能を」なんて期待してしまうのは自然なことではありますし、多くの親御さんは(「可能なら」という条件付きで)そう願っているのではないでしょうか。しかし私は個別指導者として、勉強以外のことをたくさんやっているお子さんを見たら「その才能、勉強だけに使ったら・・・」ということはよく思います。そもそも本物のギフテッドは非常に稀有な存在ですから、おいそれと「うちの子」には適用できませんし、パッと見て「この子はモノが違う」はすぐに気づきます(多分)。ギフテッドはほっておいてもやるんですよ。彼らは、「才能」×「努力を厭わない性格」×「アドバイスを受け入れる素直さ」×「とてつもない集中力」などを全てセットで生まれてきています。受験など1つのことで大きな成果を残したいのであれば、「普通の優秀な子」はやはり1つに集中するか、時間をかけた方がいいかな、と思います。
ちなみに「覚悟」の問題でもある
受験に際し、軽くお考えの親御さんもいらっしゃいます。もちろんお子さんも。「うちはそんな感じで受験です」ということならばそれ以上はいうことはないですし、現状の偏差値で合格するようなところを受験するなら、(現状維持も小6以降は結構大変ですが)それほど難しい話ではありません。しかし難しい学校を志望しているのなら、そんな片手間では受かりませんよという気持ちも私は持っています。そこに集中しないとライバルたちと同じ土俵に立てない、と数字ではっきり示されている(模試がボロボロなど)なら、結果を出す為に塾以外の習い事は切って1つに賭ける覚悟は必要ですし、その環境を整えてあげることも不可欠です。ちなみにそこでよく言われる「受験の経験はかならず何かに役立つから、やって損はないよ」というフレーズですが、経験者としてはそうとも限らないと思っていますよ。もっとも効果がないのは「いやいや受験させられているとき」です。本来なら別のことを学び経験し身に付ける時期だったのに、気が乗らない別のことを強制され、もちろん結果は出ない、ということになります。私自身が自分に言い聞かせていることですが(少し強い言い方になりますが)、強制させるなら失敗させてはいけません。強制するなら小さな成功・勝利を積み重ねさせなければなりません。そこが親御さんの覚悟の部分であり養育能力の部分、いわゆる「中学受験は親で決まる」の中身の1つです。本人がやりたいというなら親御さんは伴走するだけで良いと思いますけどね。
どうしても続けたいなら
塾以外の習い事をどうしても続けたい、続けさせたい、ということであれば、そのことによるメリットとデメリットをしっかり把握して判断してください。
メリットとその背後にある危険性
1.リラックス効果・・・「勉強ばかりに集中するとそれ以外に息抜きが必要」という配慮からですね。でもリラックスする時間や場所、方法はお子さん本人が決めること、ではないかと感じます。「6時からは15分、ピアノで息抜きしなさい」っていう話は、少しおかしい。何を息抜きとするのか、そもそもお子さんは息抜きというものを知っていて息抜きになり得るのか、息抜きを強制せざるを得ないほど勉強を強制しているのか、慎重に進めて行ってください。
2.可能性の拡大・・・勉強だけに集中するとそれで失敗したとき他にすがるものがない、とご心配の親御様、大丈夫ですよ。お子さん本人が望んだ戦いであれば、多少のフォローが必要ですが子どもは必ず立ち直ります。それよりも強制に次ぐ強制でやっぱり失敗した、という時の方が心配です。また、「この子はいろんなことができるから全部の可能性をできる限り伸ばしてあげておきたい」という親御様、見切りと誘導が大事です。見切りとは、これはここまで、という区切りです。誘導は「次にこっちに進もうか」「君の目指せるところは〇と△と□あたりがあるよ」などというものです。見切りには覚悟が必要ですし、誘導には正確な情報(受験に限らない)と心理学的な知識や経験をベースにした養育能力が必要です。しかし「二兎追うもの一兎をも得ず」になる可能性があり、そこでメンタルが落ちたり「親の言う通りにしたのに」(まあこれに気付けるのはずっと後ですけど)とこじれたりするケースもあります。それはもちろん強制的に好きな習い事をやめさせた場合も然りです。
3.学習の転移・・・ピアノをやっていたらピアノでの向上のノウハウが勉強にも活きる可能性はあります。しかしそれが起きるには、ピアノが好きであること、300回練習に耐えられるような忍耐力があること、自分の向上に敏感であること、「〇〇したらいいんじゃない?」に素直に従う素直さがあること、大きな称賛の受けられる環境にあること等、かなり条件が付くと思います。今まで親御さんが見ていた中でそのような「ピアノの経験が勉強に役立っているわ」という明らかな実績がありましたでしょうか?お子さん本人も、これはピアノをやっていたからだ、という認識を持っているでしょうか。そしてこれらのことは親子でとてもコミュニケーションが頻繁かつフランクに行われている家庭でしか確かめようがありません。反抗期に入ったお子さんは本音を言わなくなり、親御さんの望む解答を準備しているだけかもしれません。
デメリットとその背後にある可能性
1.時間と心が習い事にとられる・・・さんざん上で申し上げている通り、塾以外に習い事を続けるときにもっとも懸念されることです。ただし本人が強く希望しているのであれば、それは仕方のないことかもしれませんね。よく話し合った結果「二兎を追うことにする」と覚悟を決めた際は、親御様のバックアップの中身が大事になります。二兎を追っても大丈夫なレベルの養育能力や養育環境が必要となります。
2.どちらもうまく行かない可能性・・・これは否定できません。ただ「多分うまくいかないだろう」は、本番が近づくにつれて薄々わかってくると思います。心の準備は出来るでしょうね。ただどちらもうまく行かないと言っても、本人が「2つとも頑張りを強制されたのに2つとも失敗した」という認識を持っているときと、「2つとも命の限り頑張ったのに2つとも失敗した」と認識しているときの2種類があると思います。前者はお子さん自身が感じるストレスはあまりないと思います。そもそも自分の戦いと思っていませんから失敗しても何も気にしてません。自己肯定感がガクッと落ちるだけです(めっちゃ深刻やないか!)。個人的にはお子さんのその後の人生は気になりますけどね。まれにお母様が「気にしていないことが気になる、頭にくる」なんておっしゃるケースはありますが。後者は本人がやる気満々だったのに、親御様を始めとして関わる大人の責任ですから、猛省が必要です。試験は水物(みずもの)と言われますから完璧はありませんが、これだけは避けなければなりません。
3.ストレッシブだが一挙両得もある・・・「あれもこれもやらなければならない」という状態は、社会人経験がおありならご存知かと思いますが、本当にストレッシブですよね。「これだけやっていたらいいよ」という状態がいかに健全で、自分をしっかりコントロールできるか。ですがそこであえて「複数のタスクを同時にこなしていく」という訓練を幼いときに経験し、それを乗り越えてきてお子さん自身も「おれはデキる人種だ」という自己肯定感に結実したとしたら、もうあとはほっておいても大丈夫でしょうね。「私は努力して優秀」という認識を持つお子さんは自分で考えて行動するようになると思います。逆に才能のみで合格したり、強制によって合格させてもらったお子さんはその後の伸びが…、という印象がたまにあります。その場合は1からモチベーション形成が必要ですね。
最後に
ということで、学習塾と習い事の併用、特に中高大の受験を前提とした学習塾と、ピアノなどの勉強とは直接関係ない習い事の併用は、例外を除いてあまりお勧めしないという内容でした。併用すると息抜きになるかもしれませんが、逆に負担になったり才能の発揮が鈍るケースが見られるためです。「子どもがやりたいというから」ということだとしても、そこは親御様の責任で区切りと誘導が必要です。それらに自信がなければ専門の人に聞くことをお勧めしますよ。近所の人や親戚など「その経験者・その道の人間ではない人」がしたり顔で吹聴する話を「唯一絶対なもの」として真に受けず、ご自身で情報集め・勉強・実践していって、お子さんの人生をバックアップしてあげてください。ご健闘を祈ります。