学力向上=勉強時間×本人の力×環境の力
個別指導をしておりますと、集団授業では気づきにくいところ(例:この生徒は頭をかくと「分からないのサイン」)に多く気付けます。また同時に指導者のこともよくわかってもらえます。この相乗効果により、同じ指導者に長くつけばつくほど生徒の状態が上に向いていき、スランプなどの症状にも比較的早期に対応ができます。それらの経験則からですが、成績の向上にやはりいくつかの法則が見られます。その中で特に大事だろうなと思う要素を3つ、挙げてみます。それは、
①勉強習慣(比較的簡単に改善が可能)
②お子様自身の能力(変えるのは可能なところとかなり難しい所がある)
③適切な環境(親御さんの意識次第で簡単に改善が可能)
と考えます。そしてこれらの総合的な掛け算で成績が決まるかな、と最近思います。
やっぱり、まずは「勉強習慣」です
まず1番大事なのは、毎日の勉強を習慣化することだと、経験的に強く思います。これは幼少時なら親御さんの誘導で容易に身につきますが、中学以降ですと本人の意志が強く入ってきますので親御さんの思い通りにはいかないですよね。と言いましても、中学生以降でも勉強習慣をつける方法は色々とありますよ。親御さんにやっていただきたいこともたくさんありますから、おいおい話していきますね。
上位層を狙うなら、小5以上で全学年毎日3時間以上、と言っています。
毎日1時間ですと、「学校の宿題+ちょっと勉強したよ」程度で終わります。
これでは偏差値や順位の向上は少し難しいかな。特に中層から上位層を狙う時、または上位層の中にいる時にさらに上位を狙う時、まずすぐにとりかかれるのは勉強量の増加です。
多くの専門家がおっしゃっている通り、「いくらいい授業を受けてその場で分かっても、復習・練習しないと定着しない」、は私も心から実感しています。これは直接授業でもオンライン授業でも同じことが言えます。
ハイレベルな生徒はやはり平均レベルで3時間ぐらいはやっています。
また、この3時間は常に連続で3時間である必要はありません。
朝の20分、授業の休憩時間で5分×3回、帰宅直後30分、そして夕食後2時間などで3時間として大丈夫です。
この「勉強習慣」は、後に述べる「本人の能力」と比べると、比較的簡単に改善可能です。
でも「じゃあ今日から3時間」という「突然の導入」はお子さん本人が望まない限りやめたほうがいいと思います。ものすごいストレスになりますからね。このストレスを持ちこたえている間にお子さんが納得する結果がついてこればいいのですが、結果も出ない、やる意味も良く分からない、強制である、賞賛もなく否定と指示ばかり、自分の向上も実感できない、授業も宿題もムズすぎて分からない、などとなると、やがて大きな反抗か心身の異常につながります。するとですね、「この子、嫌々やっているから目標なんてない。全部やっつけ仕事で流れ作業」とおっしゃる親御さんがいらっしゃいます。これはお子さんのせいではありません、指導者と保護者の責任です。「やれ」と言って疑いなくやるのはせいぜい10歳までです。本当は、お子さんが本気で取り組むように、環境の1つとなる大人が時間をかけて誘導しなければならなかった、と思っています。でも、今からでも間に合いますよ。ただし半年ぐらいをメドに考えておくと良いかと思います。
お子さん自身の能力も大事
次に大事なのはお子さん自身の能力です。
具体的には
・IQ
・基礎学力
・やる気
・素直さ
・忍耐力
・コミュニケーション能力
などがこれに当たります。
いくつか確認しますね。
・IQ(理解の速さ)の初期値は遺伝でほぼ決まるが、10歳くらいまでの環境や本人の努力(あるいは怠惰)である程度変動する、と最近の研究では考えられています。これは私も成功体験があり、実感しています。また別の研究では「出生時の能力差はほとんどなく、生まれた後に能力差が出てくる」、と考える研究者もいます。
・やる気というものは、本来はお子様自身が持っているものと私は考えています。30年くらい前に流行った「子ども性善説」ですね(笑)。やる気がないのは、本来出てこようとしている「お子様自身のやる気」が、何かの原因によって阻害されているから、と感じることが多いですね。その阻害原因とは親であることはもちろん、兄弟や学校や友人であったり、住んでいる場所や所属している部活動の雰囲気なども影響していることがあります。
・素直さ・忍耐力・コミュニケーション能力などは、「どう育てられたか」に因るところが大きいと思います。塾に入って改善されるかどうかは、そういう部分も指導できるなら指導して行くという意識を持っている指導者と協力的な親御さんに囲まれることが大切ですね。
以上のことは塾に入る前から決まっていることが多く、塾もそれらを伸ばすことはメインの業務にしておりません。塾の業務は「成績を上げること(=問題の解き方を理解させて演習させること)」ですからね。IQや素直さは成績の上がりやすさに直結しますが、一般的には塾や学校はそこまで手は回りません。長く多く担当させていただけると個別指導の場合はこの能力も上げられる指導者もいます。ほとんど親代わりですね。私は3人目の親と言われました。複雑な気持ちです(笑)。
「適切な環境」も見過ごしてはいけません。
当たり前ですが学力向上をお考えなら、環境もとても大事。ただし、物理的な側面と精神的な側面があると思います。
①物理的な側面ですが、これは言うまでもなくレベルにあった塾・指導者・参考書、集中ができる勉強部屋、などですね。でも、よく言われる「本棚が2つ」「世界名作集がある」などは良い環境になるとは限りませんので、注意が必要です。また意外と多いのですが、「小さい弟・妹がいる」というケースも、優しい兄・姉なら集中ができなくなりますよ。
②精神的な側面で言いますと(こちらの方が軽視されている印象ですが)、やはり両親の関わり方と塾での人間関係などですね。
この「適切な環境」については親御さんのお考えやお子さんの個性により、物理的にも精神的にも大変広い意味合いがあります。例えば「集中できる場所」1つとっても、親御さんの顔が見えるか否か、声だけでいいのか、完全な静寂や一人を好むのか、少しざわついている方がいいのか、ヘッドホンやBGMを好んだり、「窓から人を見下ろす位置が良い」という生徒もいました。ホントにいろいろです。そんなこと気にするの?というレベルですし、親御さんや世の中の法則と異なるケースもよくあるので一方的に「それはやめなさい」なんて言ってしまったりします(まあやらせてみてください、自分で自分を実験している段階なのでは?と思っています)。「なんかやる気がないな」とか「成績が上がらないな」とお子さんが思ったとき、そういう細かいことに気付く人も必要です(ベテランの個別指導者はこの辺に良く気付きます)。お子さん自身が気付けばいいですけどね。そしてこれは親御さんとお子さんが正反対の考えのときもよくあり、さらに双方とも年齢に応じて考え方が変化します。親御さんには「静かな個室でムズめの問題集をやらせておけばいい」という一般論にとらわれることなく、「うちの子は何が合うのかな?」という気持ちをいつも持って接してほしいなと思います。
この「適切な環境について」は他の項でもまとめますので、リンクが貼られましたら覧ください。
成績は「勉強時間×個人の能力×環境」で決まります
ということで、これらの3つの要素の掛け算で成績向上の可能性が決まる、という印象を持っています。つまり
成績向上=勉強時間×個人の能力×環境
という感じです。ありきたりの結論ですけどね。
勉強時間が少なくても能力が高くて環境が良ければそこそこ成績は上がります。
しかしこのことは言い換えると、能力と環境から予想される成績と比べると(言い換えると、「最高の状態」を引き出すには)、勉強時間の少なさが足を引っ張っているとも言えます。
それぞれの要素が少し低い、大いに低い、低い所が2つある、3つとも低い、となると成績向上はどんどん見込めなくなる、という話です。ちなみに「これがあるとほかがどんなによくても、あまり向上が見込めない」という要素が2つあります。それは「IQが極端に低い場合」と、「やる気が全くない場合」です。特に「やる気が全くない場合」は半分くらいのケースで結構短期間で改善可能ですから、勉強時間を増やすよりも優先すべき改善ポイントですね。1~2割は深刻なほど厳しい場合がありますので、お気をつけて。メールでご相談頂いても大丈夫ですよ。
お子さんの状態を俯瞰してみるといいかも
お子さんの状態を俯瞰してみると、お子さんが持っている優秀なところと足を引っ張っている所が見えてきます。そして長所を伸ばすのか、短所を減らすのか、という戦略が必要になってきます。ちなみに私はお子さんの状態を入会の段階で詳しくチェックするときはこんな内容を聞きますよ。

お子さんの状態を正確に把握することが「次にどうすればいいのか」の選択肢のヒントになります。ただやみくもに「親が強引にでも勉強させればいい」、逆に「放置して失敗して思い知ればいい」という旧来のアプローチですと、せっかくのお子さんの才能が台無しになるばかりか、親御さんもストレスがたまり自信喪失になりますよね。どこが優秀で何が不足しているのか、そのために必要なことは何か、それは親・学校・塾のどこがどれだけ担当するのか、を考えるだけでも、お子さん・親御さんが良い方向に向かう可能性がありますよ。もちろん「行き詰った、よく分からないねぇ」となった場合は先輩方や塾、そういう悩み事をしっかり相談できる所に助けを求めてくださいね。
まとめ
塾での成績を決める要素は3つあり、それは
①勉強時間
②本人の能力
③適切な環境、となります。
そして、この3つを掛け合わせた状態が成績の伸び具合を決めます。
つまり 成績向上=勉強時間×個人の能力×環境
となります。
そして、できれば親御さんにはお子さんのどこが長所でどこが足を引っ張っているのか、客観的に判断できるように意識していただけたらな、と思います。
頑張ってください、あるいは一緒に頑張りましょう。