エリートになりやすいこれだけの事実
はじめに
最近は子どもの人口も激減してるし、早期教育や能力開発の研究が進み、書籍でもネット上でもたくさんの情報がありますし、「エリートになる為には以前ほど神がかる必要はないッスね」と言われるようになりました。それと同時に、早期教育も浸透し、多くの方が取り入れています。今日はそのあたりを。ちなみにここでたまに出てくる「後付け可能」という言葉は、簡単に言うと「今からでも間に合う」という意味です。先天的に決まっているものではなく、後天的に努力や経験、意識などで向上が十分見込める、という意味です。
エリートになるチャンスは50年前より約3倍増です
また長くなるので、先に結論から。「ライバルは1/3に減っている」、つまりエリートになりやすくなっているという根拠は、少子化との関連からです。団塊の世代(戦後3年間)では新生児の出生数が毎年250万人以上だったのが、第二次ベビーブーム(1973年前後生まれ)で200万人を超えた後、ゆっくり減り続け(社会科学的には「急速」らしい)、最近は80~90万人となっておりますね。2022年ははじめて80万人を割ってしまったとか(原因はコロナでしょうけど)。しかし、いい大学の入学枠や医者等の高給取りの枠は、きっちり調べたわけではありませんが人口減少に伴ってきっちり1/3に減っているというわけではないかと思います。むしろ、社会の充実や国家の技術力、国際的地位の向上に伴って、(くだらない順送り役職や肩書ではなく)本当に必要とされるエリート枠・エリート職も増えてきているのではないでしょうか。年収が1000万超えの企業も相当数増えてきておりますし、海外で働くことの敷居も低くなってきておりますね。このことから、両親や祖父母の世代と比べるとエリートになれるチャンスは大幅に増えている、と結論付けております(一部、バブル時の数字を持ち出されると反駁に遭いそうですけど)。総じて親御様の世代で「これは神の領域」なんてもてはやされた大学や職業は、当時よりもはるかに合格しやすくなっているはず、と感じます。パイロットなんて超人手不足というのもあってすごく身近になってきています(お金はかかります、実習でジェット機飛ばすから。ペイバックは十分できます。でも適性検査は努力でどうにもならないかもですけど)。ちなみにエリートの代表、東京大学の募集人員は、第二次ベビーブームで500人ほど増加したものの、ここ50年以上で3000人台をキープしております。単純計算で3600人/200万人(子ども1万人中上位18人は東大に入れます)と3100人/80万人(同38.7人)です。東大だけですと3000人ちょいですが、それを全旧帝国大学、全医学部、早慶、G-MARCHなどを入れると(計算してませんが)、数万人の枠ですね。80万人のうち数万人はエリート大学ですわ。もっといえば大学への進学率は6割弱ですからライバルは48万人(80万×0.6)になりますね。この48万人の中の上位数万人はエリートになれます、と聞くと「え?意外にエリートって多いな」と思いません?平均すると小学校でクラスに3人ぐらいは夢のようなエリートになれる時代になってます。ただし沖縄などの地方都市ですと、それなりのことを知っている学校に入るか、そういう人に師事しない限りは、親御様だけで指導はかなり難しいかもしれませんね。
エリートになるための方法論もかなりはっきりしている
それなりのことを知っている学校に入ったり、そういう指導の専門家につけば、エリートになるための情報や近道を教えてくれます。あるいは知らないうちにその道に乗せられます。今は、そういう情報・専門知識・実践経験に豊富な指導者があふれています(あ、でも私も含めて玉石混合です、優秀か否か、我が子に合うか、の保証はありません)。同時に「子どもは育て方次第でエリートに育つ」という知識はもう「公然の秘密」状態になっていますから、今までなら普通の子として育てられていたであろうご家庭のお子さんでも、「行ったもん勝ち」「やったもん勝ち」の可能性が高くなります。たとえ話で言いますと、「カエルの子はカエルに育つしかない」と以前は信じられていましたが、今は「カエルの子は結構簡単にヘビにもワニにもトカゲにもなれる」ということが明らかになりつつあります。「子どもの成長は可塑性に富んでいる」と言われるやつですね。例えばカエルの子に生まれても、親ガエルがヘビになる育て方(これは公開されているので親御様が後付け可能、その中で早期教育は大きな位置を占めます)を勉強して実践し、ヘビを育てる機関(ハイレベル塾、ハイレベル中高)に入れると、あら不思議、ヘビに育つ、と言う話です。もちろん逆もあります。ヘビの子に生まれていても、これだけカエルからのヘビ転生希望組が多ければ、親ヘビがヘビに育つ教育を我が子に施さない限りはカエル、あるいはそれ以下になる可能性があります。エリートになる上での早期教育と養育能力の重要性が如実に示されています。
シビアな情報戦
進学や早期教育・養育能力などの情報や知識を積極的あるいは気軽に取り入れる親御様が多い反面、そのような情報に疎い親御様からすると、「そんな情報は知らなかった」「そんな情報はどこから?」「間に合わなかった」ということも多くなります。情報に疎い方の特徴として、知り合いやテレビからの情報、つまり狭い範囲から受け身な状態で仕入れることができる情報に依存している傾向があります。大きな情報源の1つであるママ友からすると、「聞かれないから自分から言いませんよ」ということもあるかと思いますし、「あえて教えない」「ウソを教える」という親御様も多い印象です。理由は簡単、「我が子のライバルが増えるから」。実績の高い塾などは小3の2月で満席、なんてザラですよ。親御さんの養育能力、特にここでは情報収集能力がすでに試され始めています。情報や知識は親御様が自分で取りに行くのが常識です。教えてもらうのを待っているのはだめです、お子さんに勉強を頑張れというなら、かわりに親御様はこの部分で頑張ってもいいかも~。
単純に3倍入りやすくなっているのか?
数値上では3倍ぐらい入りやすくなってますよ、と言ってしまったわけですが、もちろん世の中はそんなに甘くないわけですね。30年前50年前よりも入りやすくなっているなんて話は、業界の人間にはもう知らない人がいないぐらいの情報です。だから挑戦者もいっぱい出てきます。その例として有名なのが医学部で、医学部の偏差値はここ30年で急上昇していますよ。30年前なら偏差値60以下でも合格できた医学部がありますが、今は最も低い所で65、上位6~7%ですね。さらに、これだけ情報が氾濫し、エリートになりたい子どもさんもエリートに育てる指導者もたくさんいるわけですから、「情報戦」となるのは必然です。しかしこの「情報戦」のおかげで、エリートの子どもしかエリートになれないという旧社会の発想はほぼ否定され、そういう意味では、戦後の日本の教育行政は「公正」だったと思います。戦前と比べると、親御様もお子さんもそういう情報に触れること、そういう機会を得ることはずっと容易になりましたからね。あ、このような情報・機会獲得の手段として資金力を挙げる親御様もいらっしゃいますが、私は(限界はあるにしろ)それはすべてではないと思っています。さて、そんな世界では、「情報」の扱い方が上手な親御様(これは後付け可能、親御様が今からでも獲得可能な能力です)と、自身が養育能力の指導を受けていたり心得のある親御様がこの土俵で勝ち残って行きます。ちなみに心得のある親御様とは、「自身が激しい受験を経験した」「教育や心理学の業界に身を置いていた」「代々そういう家系だった」等のことです。30年前よりもエリートになるチャンスや方法が身近になったことと、そのことによって、30年前は目指さなかったであろう家庭の優秀層が目の色を変えてエリートを目指すようになっています。当たり前ですよね、サラリーマン家庭の子が医者になれるとしたらちょっとぐらい無理するお家も出てきますし、「この状態って実は軽いギフテッドですよ、変わった子、などではありません」という情報は少し探せばすぐに分かります。このような、以前は一部の者しか知らなかった情報の浸透と、それを知った人たちの切磋琢磨が上位層の競争に拍車をかけている、という印象もあります。ただ、以前の優秀層と今の優秀層はちょっと毛色が違うな、と感じてはいます。
今の子どもたちは昔より劣っている、だと?
もう1つ気になることを。「今の子どもたちは昔より劣っている」。このようなことをおっしゃる専門家・関係者は意外に多いですね。ちょっと頭に来ますけどね。私も毛色が違う、という表現をしましたが。多分ですが、先天的な部分で優秀と判定される子どもの「割合」は今も昔も変わらないと思います。しかし何人いるのかという実数で考えると、「平均値は下がったな」を感じることは多くあります。例えばある優秀な中学・高校で30年前と同じ6クラスで準備しているとします。30年前は子どもがいっぱいいたので周辺地域で対象となる子どもは3万人いてその中から6クラスだったのが、今は子どもが減って周辺には1万人しかおらず、またライバル校も乱立したのでその中から6クラス、という話になります。子どもの数が1/3になっているのでクラスも2クラスにすれば地域トップ校なら30年前と同じレベルは保てると思います。あるいは後付けの情報でしっかり勉強する親御様の下で過ごしたお子さんが入ったとして、3クラスぐらいなら維持できるかもですね。でも経営上、そういうわけにはいかないので6クラスのままだと、単純計算すると30年前では入れなかったレベルの子たちが5~6割を占める、という感覚になります。私の知っている30年前なんかはやっと情報が出始めばかりなので、代々優秀な大学を出ている家系の子(親御様自身が高学歴になる育てられ方をしているので自分が育てられたように育児をすればお子さんも高学歴になる)や、IQの高い子が優秀層に行く傾向が強かったように思います。しかし現在は上記に挙げたお子さん以外にも、受験に特化した能力だけを磨いてきた子、早期教育により何をやっても優秀でとりあえず今は勉強に注力している子、勉強以外にいろいろと習い事を同時にやっている子、本人は乗り気ではないが親にやらされていてたまたま適性があった子、発達に凸凹があり学力に関係する領域の数値が高くなっている子なども訓練次第で上位校に入ってきます。30年前の優秀層とは毛色が違う彼らが入ってきた時、卒業までの3年ないし6年でどう進化させられるかという点は、やはり学校の指導力はもちろんですが親御様の養育能力も大きくなってきます。今の子どもは、能力が劣っている訳ではなくて、勉強のみについて訓練が行き届いた子どもが少ない、という印象です。今も、ほとんどのお子さんは育て方や学び方次第で勉強は優秀になる可能性は持っていると信じていますし、実際にそう感じています。
親御さんの「養育能力」
情報を集める際に、お子さんを高学歴に育て上げた方の実践本や業界歴・実績に秀でた指導者のハウツー本、心理学や教育学の教授の先生が執筆された理論など、「とても興味深い情報」は沢山あります。ですが、それを全く同じように実践したところでうまく行くのでしょうか?すべて実践できるでしょうか?本当に難しいし悩ましい。自然科学はマニュアルが存在しますが、社会科学(教育は社会科学の領域の1つと考えられます)は、自然科学ほど効果てきめんなマニュアルは現在のレベルでは存在しないのではないかと考えています。ですから、教育(社会科学)に関する知識は親御様が勉強・理解したうえで、自分なりに試行錯誤して自分の型でお子さんに対応していかなければならない、と考えています。良い学歴を得る方法は(自然科学のように)正解が1つだけではありません。これはうまく行ったけどこれはダメだ、の繰り返しです。お子さんの教育に積極的なら、全ての子どもに適用できる唯一のマニュアルをさがすことはもうやめて(そもそも存在しないので)、親御様自身が我が子だけに効く方法を探さないといけないのです。その中で幼少時の育て方は、比較的選択肢が少なくかつ効果の高いものが多い、そして親御様の勉強や気苦労も少なくて済む、と言われています。お子様自身にとっても「三つ子の魂、百まで」とも言われる通り、その後の人生においてとても有意義になります。
最後に
第二次ベビーブームの頃と比べると子どもの数が1/3になっているのに、エリート大学の入学者定員数は30年前とあまり変わりません。ですから単純に考えると、「かなり楽になっているはず」です。しかし実際には、上位層を中心に情報戦と早期教育が苛烈になっているので、それほど楽にはなっていないという状況ではあります。ただし逆に言うと、情報戦や早期教育などで親御様が有利な状況を作っておくことが「お子さんが30年前より楽」をできる1つの、そして最大ともいえるヒントとなります。最初に申し上げた通り、受験の8割9割は親の力(若い受験ほどそう)と言いたい核心はここになります。つまり「親の養育能力は大人になってからでも勉強・訓練できる(先天的なものではない)ので、そこら辺の部分で親がしっかりしていれば、最近の子どもは楽になる」、というのが私の実感です。